銀河鉄道の夜/宮沢賢治

銀河鉄道の夜

今回は宮沢賢治著『銀河鉄道の夜』をご紹介します。
著作権が切れているので、kindleで無料で読むことができます。

ほしにゃー

アニメ映画になったりしているので、作品名は有名ですよね!

紙媒体で手元に置きたい派のあなたはこちら↓をどうぞ。

目次

『銀河鉄道の夜』の基本情報

基本情報

・宮沢賢治は何度も『銀河鉄道の夜』を書き直しているが、決定稿が出来上がらないま亡くなってしまった。
・決定稿はないが、後の研究によって第1稿~第4稿があることがわかっている。
・1934年、高村光太郎らの手によって文圃堂版全集で発表されたのが初出。
・kindle版(青空文庫)では74ページ(媒体によって変動します)。

『銀河鉄道の夜』の概要

『銀河鉄道の夜』のあらすじ

主人公ジョバンニは家庭が貧しく、働きながら学校に行っています。
唯一の友であり幼馴染のカムパネルラは、ジョバンニが他の子どもにからかわれても困ったように微笑むだけで積極的に関わろうとはしないのでした。

ある星祭りの夜、一人で丘に登ったジョバンニは気づけばカムパネルラと共に、銀河鉄道に乗って旅をしていたのです。

カムパネルラのモデル

主人公ジョバンニは宮沢賢治自身、そして親友のカムパネルラは保阪嘉内という人物だという説があります。
保阪嘉内は宮沢賢治の一年後輩の男性で、ある夏の夜に二人で山に登っていろいろと語り明かした体験が『銀河鉄道の夜』に生かされているのではないかというものです。

『銀河鉄道の夜』を彩る音楽たち

主よ、みもとに近づかん

『銀河鉄道の夜』に出てくる音楽に讃美歌306番(現在は320番)があります。
これは『主よ、みもとに近づかん』という讃美歌で、1912年にイギリスの客船タイタニックが海難事故によって沈む前にオーケストラが奏でていた中の1曲です。

ドヴォルザーク 交響曲第9番 新世界より

『銀河鉄道の夜』の中では『新世界交響楽』と表記されているのですが、ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」も登場します。
宮沢賢治はドヴォルザークが好きだったそうです。また自身もチェロをたしなんでいたのですが、実力はそれほどでもなかったようです。

猫じゃないんです。

『銀河鉄道の夜』といえば、1985年に公開されたアニメ映画を思い浮かべる方も多いでしょう。
このアニメ映画はますむら・ひろし著『銀河鉄道の夜』(漫画)が基になっています。

ますむら・ひろしさんの漫画、そして漫画を基に作られたアニメ映画ではジョバンニやカムパネルラたち登場人物が猫の姿で描かれています。
私も再読して思い違いに気づいたのですが、原作は猫じゃないんです!!(普通に人間です)

ほしにゃー

アニメ映画のイメージが強すぎて……

また宮沢賢治の童話は猫が主役だったり登場する作品が多いので、てっきり『銀河鉄道の夜』も同じかと。

『銀河鉄道の夜』に影響を受けたもの

銀河鉄道999

『銀河鉄道の夜』は1985年のアニメ映画だけでなく、テレビドラマやミュージカル、演劇など作品化されています。
それだけでなく、『銀河鉄道の夜』にインスパイアされたものとして一番有名なのは松本零士作『銀河鉄道999(スリーナイン)』ではないでしょうか。

銀河鉄道999は謎の美女メーテルと共に、星野鉄郎が機械の体を求めて銀河鉄道で旅をする物語です。
ちなみに『銀河鉄道999』の銀河鉄道は宇宙を飛ぶ蒸気機関車ですが、『銀河鉄道の夜』では蒸気機関車ではありません

ほしにゃー

石炭でも電気でもない動力で動いているそうです。

米津玄師の楽曲『カムパネルラ』

また米津玄師のアルバム『STRAY SHEEP』に収録されている『カムパネルラ』も、宮沢賢治著『銀河鉄道の夜』の影響を受けています。

曲のタイトルからして、そのまんまですよね。
歌詞を読むと、『銀河鉄道の夜』に出てくるカムパネルラへの語りかけという形態がとられています。

ほしにゃー

カムパネルラとは、イタリア語で”小さな鐘”という意味です。

『銀河鉄道の夜』を読んでから米津玄師の『カムパネルラ』を聴くと、歌詞の内容がよくわかるので米津玄師ファンの方におすすめです。

ほしにゃー’s レビュー

ほしにゃー’sレビュー

どこまでも幻想的で広大、豊かな色彩・風景の描写が美しい作品です。
舞台が宇宙ということでSFぽくもあり、友達と二人で旅する物語はロードムービー的でもあり。

ほしにゃー

大人になる前の、少年の目で見た世界です。

『銀河鉄道の夜』は作者が最終稿を決めずに亡くなっています。
また具体的に何を指しているのかはっきりしない表現があることで、読者の解釈が広がる要因にもなっています。

物語の大筋は複雑ではないのですが、読む人の受け取り方によって解釈が異なってくる作品です。
「良い物語とは、読者に想像の余地を残す物語である」とどこかで読んだことがありますが、そういう意味で『銀河鉄道の夜』は良い物語だと断言できます。

あなたもこの機会に、宇宙を駆け抜ける銀河鉄道に乗り込んでみませんか?

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