三国志姜維伝 諸葛孔明の遺志を継ぐ者/小前亮

三国志姜維伝

秋風を感じると三国志を思い出しますよね(超個人的感覚)。
諸葛亮が五丈原(ごじょうげん)で亡くなったのは234年の秋8月(三国志演義では8月23日)ですが、今でいうと秋なので秋=丞相(諸葛亮)というイメージ。

ほしにゃー

土井晩翠(どいばんすい)の『星落秋風五丈原』は涙なしには読めない……

『星落秋風五丈原』(ほしおつしゅうふうごじょうげん)は、諸葛亮が五丈原において亡くなるまでの生涯や功績を称えた詩です。
土井晩翠著『天地有情』(てんちうじょう)の中に収録されています。

ということで、小前亮(こまえりょう)の『三国志姜維伝 諸葛孔明の遺志を継ぐ者』をご紹介します(諸葛孔明の本じゃないんか)。

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目次

『三国志姜維伝(きょういでん)』の基本情報

基本情報

・2010年初出(kindle版は253ページ)
・作者の小前亮は1976年生まれの歴史学者・小説家。
・『銀河英雄伝説』『アルスラーン戦記』などの作者、田中芳樹の勧めにより執筆を始めた。

『三国志姜維伝』の概要

諸葛亮没後~蜀漢滅亡までを描いた作品

物語は第5次北伐、五丈原において諸葛亮が没するところから始まります。
蜀漢の精神的・軍事的・経済的支柱であった丞相を失い、失意の中にある姜維が「何のために?」を問いながら戦いに身を投じていきます。

ほしにゃー

姜維による北伐は、諸葛亮の北伐と違って蜀漢の滅亡を早めたという批判もありますよね。

姜維の功績・人物についての評価は分かれるところですが、『三国志姜維伝』においては蜀漢というよりも諸葛孔明への忠誠心・報恩が強いようです。
姜維が魏から蜀漢へ降った経緯については『演義』ではなく正史に沿っています。

姜維について

202生まれ~264年没、字(あざな)は伯約。

字(あざな)とは
古代中国では、成人した男子に本当の名前とは別に字をつける風習がありました。
これは本当の名前を知られることを忌避する考えから来ており、成人した男子は字で呼びあっていました。

一人の人に姓(氏)諱(名)と字があり、姜維だと姜が姓、維が諱(いみな)になります。
ちなみに諸葛孔明は諸葛は姓、孔明が字です。

涼州天水郡県(現在の甘粛省天水市)生まれで天水軍(魏)にいましたが、228年第1次北伐の際やむを得ず蜀漢軍に投降し、諸葛亮に高くその知略と武勇を買われて活躍します。

ほしにゃー’s レビュー

ほしにゃー’sレビュー

三国志といえば、蜀漢側から見たストーリーが人気。
日本で一番有名なのは劉備・関羽・張飛の桃園の誓い~赤壁あたりでしょうし、劉備亡きあとの北伐も魏との駆け引きが面白い。

しかし………
五丈原で丞相が亡くなった後は「死せる孔明生ける仲達を走らす」が有名なくらいで、蜀漢の滅亡までってちょっとマイナーなイメージです。
英雄たちがいなくなり、暗君を戴いた蜀漢がだんだんと弱体化していく様はあまり楽しくないですものね。

その中で、もともとは魏の武人だった姜維が蜀漢滅亡まで魏と戦い続けるという史実は『忠誠』『報恩』といった流れを継ぐ正統な後継者といって良いのでしょう。
後世の私たちから見れば愚かな行為だったのかも知れませんが、姜維が北伐を繰り返さなくても蜀漢の未来がそう長くあったかどうかは「たられば」の話でしかありません。

余談ですが、蜀漢側ではなく魏から見た三国時代、魏の軍師であり孔明のライバル司馬懿(しばい)を主人公にしたドラマがとてもよくできていて見ごたえがあるのでおすすめです。
こちらは孔明の北伐も出てきますし、勿論姜維も登場します。

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