火村英生に捧げる犯罪/有栖川有栖

火村英生に捧げる犯罪

有栖川有栖著『火村英生(ひむらひでお)に捧げる犯罪』をご紹介します。
火村英生が探偵として活躍するシリーズは、『臨床犯罪学者 火村英生の推理』としてテレビドラマ化された人気作品です。

ほしにゃー

ほしにゃーが高校生くらいからずっと読み続けているシリーズです。

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目次

『火村英生に捧げる犯罪』の基本情報

著者有栖川有栖(ありすがわありす)
出版2008年
ページ数268頁(kindle)
ジャンル推理小説(十冊目の短編集)

著者:有栖川有栖について

  • 1959年生まれの小説家/同志社大学法学部法律学科卒
  • 本名は上原正英(うえはらまさひで)
  • デビュー作は『月光ゲーム Yの悲劇‘88』
  • 日本推理作家協会賞(マレー鉄道の謎)、本格ミステリ大賞(女王国の城)、吉川英治文庫賞(火村英生シリーズ)などを受賞
  • アメリカの推理小説家エラリー・クイーンの影響を多大に受けている
  • 作風は本格派推理小説(本格ミステリ)に属し、緻密な論理の積み重ねで謎を解き明かす
  • 『学生アリスシリーズ』ではクイーンと同じく、『読者への挑戦』があり読者に犯人と犯罪の手口を推理させる試みがある

火村英生シリーズについて

  • 京都にあるという設定の英都大学社会学部の助教授(准教授)火村英生が探偵として活躍するシリーズ
  • 相棒は推理小説作家の有栖川有栖(男性/火村と有栖川は大学の同級生)
  • 難事件が起きた時、警察からの依頼によって事件に関わり協力して解決に導くスタイル

火村英生シリーズは『作家アリスシリーズ』とも呼ばれています。
火村英生シリーズの前には『学生アリスシリーズ』があり、こちらには火村は存在せず、探偵役として江神二郎(えがみじろう)が登場します。

ほしにゃー

「作家アリスシリーズ」と「学生アリスシリーズ」はお互いにパラレルワールドになっています。

作家アリスが『学生アリスシリーズ』を推理小説として執筆、学生アリスが『作家アリスシリーズ』を執筆している設定であり、現実的には有栖川有栖という推理小説家が二つのシリーズを執筆しているという入れ子のような構造になっています。

つまり現実世界、学生アリスシリーズ、作家アリスシリーズに『有栖川有栖』という名前の男性が存在しますが、それぞれ別の人物であるということになります(ややこしい)。

『火村英生に捧げる犯罪』のあらすじ/まとめ(ネタバレなし)

8つの短編が収録されており、そのうちの一つ『火村英生に捧げる犯罪』が全体のタイトルとなっています。

長い影

自宅で話していた夫婦が、夜遅い時間にも関わらず窓越しに人影を見かけたところから始まる。
目撃情報と加害者の行動、被害者の状況見分に不可解な点があり事件解決は難航するに見えたが……

鸚鵡返し(おうむがえし)

アリスの一人称ではなく、珍しく火村がアリスに話している形式で書かれた作品。
通常と異なり、不思議な流れで事件解決に向かっていく。

あるいは四風荘(しふうそう)殺人事件

亡くなった”推理小説界の重鎮”が遺したものにまつわる話。

ほしにゃー

建物の名前がタイトルというと『ショスコム荘』とか『三破風館』などもありますね。

殺意と善意の顛末

容疑者への糾弾から始まる話。
じっさいの事件でもこういうことって意外とありそうな気がします。

偽りのペア

火村の下宿先にて。
『婆ちゃん』こと大家の篠宮時絵(しのみやときえ)さんが解決の糸口となった事件について火村が語る。

火村英生に捧げる犯罪

表題作。
大阪府警本部に届いた『prof.R』宛ての手紙と、アリスに掛かってきた怪しい電話、猟奇的な殺人事件が絡み合う。

ほしにゃー

個人的にシャーロック・ホームズシリーズの『赤毛同盟』など思い出します。

殺風景な部屋

今はもう使われていないオフィスビルで起きた犯罪。
集中豪雨によって新幹線が止まっている関係で、現場には火村はまだ到着せずアリス一人。

電話で状況をアリスに聞きながら、火村の推理が始まる。

雷雨の庭で

タクシー会社の経営者が殺された。
被害者は隣家に何度も悪質なクレームをつけており、話を聞きに行くがアリバイがあり……

火村英生シリーズの魅力

ホームズとワトスン的なバディが難事件を解決していく『火村英生シリーズ』ですが、入念に練られたトリックとそれを論理的に解き明かす本格ミステリであることは勿論、たくさんの魅力があります。

  • キャラクターがしっかり造形されている
  • 火村とアリスの掛け合い漫才のような、軽妙なやり取りが面白い
  • 基本的に火村の住む京都やアリスの住む大阪が舞台だが、旅先での事件も多く旅情的な面も楽しめる
ほしにゃー

また日本語の使い方が美しいんですよ。

ドラマ化した際に、火村が言うキャッチコピーが「この犯罪は、美しくない」でした。
ほしにゃー的には火村センセというよりも、著者有栖川有栖ぽいなと思いましたね……トリックや伏線の張り巡らせ方、言葉に対するこだわりは著者有栖川有栖の美学を感じます。

火村英生シリーズや学生アリスシリーズは出版された順にご紹介しようかとも思ったのですが、読み返した順にその都度書いていこうと思います。

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