作家アリスシリーズ(火村英生シリーズ)の2作目にあたる『ダリの繭』をご紹介します。
著者や作家アリスシリーズについての概要は『火村英生に捧げる犯罪』のページにまとめています。
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『ダリの繭(まゆ)』の基本情報
著者 | 有栖川有栖(ありすがわありす) |
ジャンル | 推理小説 |
出版 | 1993年 |
ページ数 | 412頁(kindle) |
『ダリの繭』のあらすじ(ネタバレなし)
火村(ひむら)の33歳の誕生祝いシーンから始まります。
ちなみに2022年現在、火村とアリスは34歳から年をとっていません。
堂条秀一は
- 40歳前後
- ダリのような髭を生やしている
- 全国チェーンの宝石店『ジュエリー堂条』の社長
- マスコミにも露出がある有名人
シリーズ初期なので、火村のフィールドワークもまだ10件ほどの頃です。
湯川元雄(ゆかわもとお)……『ジュエリー堂条』の営業部長
鷺尾優子(わしおゆうこ)……『ジュエリー堂条』社長秘書
吉住訓夫(よしずみのりお)……大手広告代理店の社員
長池伸介(ながいけしんすけ)……24歳のジュエリーデザイナー
五十嵐耕平(いがらしこうへい)……『ジュエリー堂条』のマネージャー
青木知佳(あおきちか)……『ジュエリー堂条』営業部勤務
※登場順に書いています。
社長である堂条秀一が殺害され、警察から応援を頼まれた火村と助手のアリスが事件の解明に動きます。
少しずつほぐれていく謎、明らかになる人間関係、最後には意外な結末を迎えます。
『ダリの繭』は事件の様相と共に、火村・アリスの抱えている心の深奥にも迫る秀逸なタイトルです。
『ダリの繭』が執筆されたのは平成が始まった頃なので、ワープロやラジカセなど今となっては懐かしいor時代を感じる単語も出てきます。
アリス(住まいは夕陽丘のマンション702号)のお隣さんである703号の真野早織(まのさおり)とアリスの出会いエピソードも入っています。
一部読者のみなさまの萌えポインツの一つ『新婚ごっこ』もこの作品の中にあります。
アリスが小説を書き始めたきっかけエピソードもあります。
ダリとは
- サルバドール・ダリ(1904~1989年)
- スペイン出身の画家、侯爵
- 妻はガラ・エリュアール・ダリ
- 画風はシュールレアリスム
- トレードマークはピンと跳ねたカイゼル髭
- 数々の奇行と放言で知られる
- 代表作は『記憶の固執(柔らかい時計)』『茹でた隠元豆のある柔らかい構造(内乱の予感)』
ダリの生涯や生き方も『ダリの繭』のストーリーと深く関わっています。
ほしにゃーの弟が好きな画家なんですよ……日本でも展覧会が行われました。
ダリといえばカイゼル髭と、ギョロッと見開いた目を思い浮かべる方も多いかと思います。
作品も奇抜ですし、圧の強そうな画家というイメージがあるのですが、実際は配慮のできる常識的な性格だったという話もあるそうです。
舞台となる場所
火村とアリスが行った真珠島(三重県)はこちらです↓
ギミー・シェルター
アリスの家に泊まる火村が、ソファに寝転がりながら口笛で吹き散らかした曲がこちらです↓
ローリング・ストーンズ『Gimme Shelter』
ソロモン王
文中にソロモン王がたとえとして出てくるのでご紹介しておきます。
ソロモン王は古代イスラエル3代目の王(初代はサウル・2代目はダビデ)。
古代イスラエルの最盛期を作った王とされ、知者としても有名です。
↑『王様と私』『荒野の七人』『十戒』などで有名なユル・ブリンナーが主演した『ソロモンとシバの女王』。
↓ソロモン王が遺したといわれる秘宝を探して冒険する『キング・ソロモンの秘宝』
ソロモン王が出てくるのは『財宝』系か『知恵者』系です。