作家アリスシリーズの4作目(長編のみだと3作目)にあたる『海のある奈良に死す』をご紹介します。
ファンの間では『海奈良(うみなら)』と呼ばれています。
ちなみに『ダリの繭』は『ダリ繭』という……語呂がいいから4文字にしたがりますよね(笑
しかし『朱色の研究』を『しゅいけん』とは言わないなあ。略しやすいタイトルとそうでないタイトルですかね。
kindle版はこちら↓
紙の書籍(文庫)はこちら↓
『海のある奈良に死す』の基本情報
著者 | 有栖川有栖(ありすがわありす) |
発行 | 1995年 |
ジャンル | 推理小説 |
ページ数 | 375頁(kindle) |
著者や作家アリスシリーズについては『火村英生に捧げる犯罪』のページでまとめていますので、併せてどうぞ。
『海のある奈良』とは
福井県の小浜のこと。
『海のある奈良に死す』の登場人物(登場順)
片桐光男(かたぎりみつお)
- アリスの著作を出版している珀友社(はくゆうしゃ)の編集者
- アリスより一歳年下で、『海奈良』当時で3年間アリスの担当者を務めている
- 太い眉にギョロ目
赤星楽(あかぼしがく)
作家アリスシリーズの主人公、アリスと同業の推理小説家。
少し意地が悪そうな切れ長の二重瞼ー二枚目なのは認めるー
有栖川有栖著『海のある奈良に死す』より
- 大阪人のアリスに出会うといつも「もうかってまっか?」と言ってくるので呆れられている
- 本名は赤星学
- 出身地は長崎
- アリスと同い年でデビューもほぼ同時期
- 売上的にはアリスと『二馬身の差』(赤星が上)があるらしいが、赤星的にはアリスを『実力伯仲』のライバルと思っている
穴吹奈美子(あなぶきなみこ)
シレーヌ企画の社長。美人で年齢を感じさせない若々しい外見。
45歳なのに、20歳くらいにしか見えないらしいです。
霧野千秋(きりのちあき)
シレーヌ企画の営業事業部副部長。割れ顎で頑固そうな印象。推理小説オタク。
朝井小夜子(あさいさよこ)
京都在住、36歳、アリスと気が合う姐さん肌の先輩小説家。
『海奈良』で初めて火村に会う。「火村が女性にほぼ興味を持たないわけ」をアリスに聞かされた時の返しが秀逸。
塩谷(しおたに)
- 赤星楽と朝井小夜子の担当編集者、珀友社の副部長
- 40歳過ぎ
- トレードマークはポロシャツとサングラス
近松ユズル(ちかまつゆずる)
- 赤星の従弟で、一時期赤星の家に居候していた
『海のある奈良に死す』のあらすじ(トリック・犯人のネタバレなし)
海のある奈良に行ってくる
有栖川有栖著『海のある奈良に死す』より
と言い残してアリスの同業者、赤星楽は取材に旅立ったが、若狭湾で変死体として発見される。
友人として、同業者として気になったアリスは火村と共に事件の真相を探り始めます。
推理小説家が被害者ということで、事件を解く鍵も複雑で二転三転していくのですが……
随所に伏線が張ってあることに後々気づく仕掛け。きっちり回収されていきます。
有栖川有栖の小説の大きな特徴である、モチーフと犯罪の美しい一体感が今作も味わえます。
またいつものごとく、捜査という名の観光もがっつりあって下手な観光ガイドよりも詳しい情報が載っているので旅行記としても楽しめる作品となっています。
ほしにゃー’s レビュー
『海奈良』のほしにゃー的ポイントは3つ。
①赤星楽
②朝井姐さん、火村センセと初対面
③火村センセの友達いない発言
①赤星楽は、アリスが比較的親しくしている人物であり「派手で軽いノリだけど頭も良いキャラクター」がシリーズ中でも印象に残る。『海奈良』だけでなく他の作品にも登場するので、著者も気に入っているのかも。
余談だけど昔のクラスメートに赤星さんがいて、その人は「あかぼし」ではなく「あかほし」だったな。
②朝井姐さんは、アリスの姉さん的なポジションで今後シリーズにちょくちょく顔を出す人。
前述したように『海奈良』の初登場シーンで深い台詞を言うのですが、観察力・洞察力がスゴイ。
③火村センセの友達いない発言(詳しくは本文をどうぞ)
この発言、ほしにゃー的にはアリスを『一般的な友達』として捉えていないのではないかと思います。
BL的というよりももっと重いというか、近いというか。しかも直前に友達甲斐云々の会話があるので、無意識に違う分類に入れてるんじゃないかな。異論は認めます。