シャーロック・ホームズシリーズの第1作目、『緋色の研究』(A Study in Scarlet)をご紹介します。
ホームズシリーズには短編56、長編が4つあり、『緋色の研究』は60作全ての始まりの物語となっています。
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『緋色の研究』の基本情報
著者 | サー・アーサー・コナン・ドイル |
初出 | 1887(明治20)年 |
ジャンル | 推理小説 |
依頼人 | トバイアス・グレグスン警部(スコットランド・ヤード所属) |
発生年 | 1881年 |
事件現場 | ローリストン・ガーデンズ3番地(ロンドン) |
ページ数 | 201頁(新訳kindle版) |
次作 | 四つの署名(長編) |
事件現場の「ローリンストン・ガーデンズ3番地」は架空の住所ですが、ブリクストンストリートは実在します。
日本で初めてシャーロック・ホームズ全編を日本語に翻訳した延原謙(のぶはらけん)訳は、1931(昭和9)年に訳されたものです。
現代の私たちが読むと言い回しが古いように感じますが、個人的には多少硬い文章もシャーロック・ホームズの世界観に合っているように思うのでこちらもご紹介しておきます。↓
延原謙の訳により『緋色の研究』というタイトルで有名ですが、studyは『習作』と訳すのが正しいのではないかという意見もあります。
BBCシャーロックでは『A Study in Pink』(ピンク色の研究)がシーズン1のエピソード1になってますね。
『緋色の研究』へのオマージュとして題された、有栖川有栖著『朱色の研究』も面白いです。
内容は『緋色の研究』とは関係ありませんが、主人公火村英生=ホームズ、友人で作家の有栖川有栖=ワトソンという立ち位置に影響を受けています。
火村シリーズに限らず、シャーロック・ホームズは世界中の推理小説やドラマに影響を与えています。
『緋色の研究』の見どころ
ホームズとワトソンの出会いが描かれている
『緋色の研究』では、「世界でたった一人の諮問探偵」であるシャーロック・ホームズと、元軍医のジョン・H・ワトソンがどうやって出会い、ベーカー街221Bで共同生活をすることになったのかが書かれています。
ホームズとワトソンの人物紹介がある
シリーズの最初に書かれた著作なので、主人公ホームズとワトソンの人物・経歴が記載されています。
ただ面白いのが『緋色の研究』ではワトソンが戦地で負傷したのは肩となっているのに、後の作品では足になっているんですよね。
コナン・ドイルも編集者も気づかなかったんですかね……
またワトスンが調べた「ホームズの知識得意・不得意分野リスト」も記載されています。
『緋色の研究』の簡単なあらすじ
第1部
負傷し、戦地から母国イギリスへ帰ってきたワトソンは、不思議な巡りあわせでホームズとルームシェアすることになります。
風変わりなホームズとの生活を、驚きつつも楽しんでいる様子が可愛らしい(この頃ホームズは20代後半~30代前半という説あり)。
ある日、ベーカー街221Bにスコットランドヤードのトバイアス・グレグスン警部からの手紙が届きます。
ブリクストン通りにあるローリストン・ガーデンズ3番地で起きた殺人事件についての助けが欲しいという内容でした。
スコットランドヤードとは
ロンドン警視庁のこと。
初代庁舎の裏口がグレート・スコットランドヤードという名前の通りに面していたことから。
ホームズとワトソンは現場に向かいます。
- 血痕が部屋にあるのに外傷のない死体
- 金品は奪われていない
- ポケットに「アメリカ合衆国オハイオ州クリーブランド市、イーノック・J・ドレッパー」と書かれた名刺
- 壁に血文字で「RACHE」
グレグスンとレストレイド、二人の警部がお手上げ状態の事件を、ホームズとワトソンのコンビが華麗に解決します。
レストレイド(レストレード)警部はワトソンによると「イタチみたいな顔」ということですが、ミス・シャーロックの礼紋警部(滝藤賢一)、ピッタリ……(あっ)
第2部
第2部は、第1部で起きた犯罪事件のバックグラウンドについての物語です。
4作あるシャーロック・ホームズシリーズ長編の中で『バスカヴィル家の犬』以外の3作は2部構成となっています。
19世紀末に書かれた小説ですので、当時のイギリス人の価値観を基に書かれています。
ですので偏った/間違った情報もありますし、現代人から見ると違和感を感じる部分もあることをご了承ください。
ほしにゃー’sレビュー
シャーロック・ホームズシリーズ1作目、『緋色の研究』をご紹介しました。
しばらくホームズシリーズのレビュー記事が続くと思いますが楽しんでいただけると幸いです。
人生で何回かホームズ沼で遊泳しましたが、やっぱり年月が経つと忘れている部分もあり。
今回はこのブログを書くためにシリーズ全体を一気読み(一気観)しております。
やっぱいいわ……(しみじみ)