お笑い芸人コンビ、ハライチの岩井勇気さんが書いたエッセイをご紹介します。
タイトルから親近感が湧きますw
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『僕の人生には事件が起きない』の基本情報
著者 | 岩井勇気(いわいゆうき) |
出版 | 2019年 |
ジャンル | エッセイ・コラム |
ページ数 | 153頁(kindle) |
岩井勇気について
- 1986年生まれのお笑いタレント、俳優、エッセイスト。
- お笑いコンビハライチのボケ・ネタ作り担当
- 相方は澤部佑(さわべゆう)
- 猫好き
『僕の人生には事件が起きない』のまとめ
内容の概要
『僕の人生には事件が起きない』は岩井勇気の日常を切り取って書かれたエッセイ・コラム集です。
内容としては
- 実家の素晴らしさと初めての一人暮らし
- 庭について
- あまりにも普通な生い立ち
- ショッピングモールでの買い物
など。芸人の私生活ってさぞかし波乱万丈で面白おかしいことが多いんだろうな、という漠然としたイメージを根底から覆す徒然草となっています。
しかしそこが面白い!
淡々とした語り口調ですが、さすがに物事への視点や思考が独特。
相方の澤部佑をどう評価しているのかも書かれていて、ハライチというコンビの在り方がよくわかります。
『僕の人生には事件が起きない』の見どころ
日常の非日常
平々凡々な日常を送っていると思っている人でも、少しでもそれを楽しめるようになってもらえたらと思う。
岩井勇気著『僕の人生には事件が起きない』より
タイトルからしてお気づきかもしれませんが、『僕の人生には事件が起きない』は血沸き肉躍るような作品ではありません。
そうドラマティックな生活を送っていない大多数の読者にとって、とても親しみのある話題や出来事を取り扱っています。
いつもの暮らしの中にもクスッと笑っちゃうこと・じんわり楽しい時間ってありますよね。
また大変だなと思うこと、イラついたり理不尽なこともやってきます。
誰かに話すまでもないけれど、自分の中ではなかなかの事件。
そういう「よしなしごと」を、客観的にいろんな角度から眺めてみると何故だか不思議に面白い。それが『僕の人生には事件が起きない』なのです。
濃い味付けへの警鐘
健康のためには薄味で……も真実ですが、日々の暮らしも同じではないかと著者は問題提起しています。
メディアにも現実生活にも、あまりに濃く味付けされたものを求めることは私たちの感覚を麻痺させてしまうのではないか?と。
センセーショナルで大きな事件は起きないけれど、同じようで実は違う毎日を楽しむ。
幸せや楽しいことは遠いところにあるのではない、と考えさせられます。
岩井勇気という人
正直なところ、ハライチは澤部佑の露出が多く岩井勇気についてはそれほど知りませんでした。
本人も書いていますが、尖っていて”詩的な文系芸人”風なイメージ。
『僕の人生には事件が起きない』を読んでみると、芸人さんらしく狂気も孕んでいるしユニークなものの見方をしてはいますが何ともちゃんとしてる人でした。
まず自分の家族と仲が良いし、ちゃんと感謝も配慮もできているいい息子さん……なのです。
だからでしょうか、素人の文章にありがちな不要な自己陶酔や自己承認欲求が全くなくて読みやすい。
自分の思考や行動を一歩引いたところから客観視(メタ認知)している人の文章であり、もちろん芸人さんなので「面白く書こう」とは思っているのでしょうが過剰な感じはしません。
ふわっと楽しめる本です!
ラジオもされているそうなので、聴いてみようかなあ……