クリスマスに読みたい本を5冊選んでみました。
絵本も入っていますが、子供だけでなく大人にもおすすめです。
クリスマスキャロル
『クリスマス・キャロル』のあらすじ
クリスマスの本としては世界一有名な本ではないかと思います。
強欲で、自分のことしか考えていないエベネーザ・スクルージが主人公。
守銭奴・冷酷無慈悲で街中の人から嫌われています。
時はクリスマス・イブ。
他人が生きようが死のうがどうでもいいと思っているスクルージの元に、共同経営者のジェイコブ・マーレイ(故人)の幽霊が現れます。
マーレイはスクルージと同様、お金を稼ぐことにしか興味がない男でした。
幽霊となったマーレイは、生前の行いへの報いでたくさんの鎖に繋がれて、苦しみながら彷徨っていると言います。
スクルージが自分のようにならないよう、3人の幽霊が現れると言いおいてマーレイは消えていき……
『クリスマス・キャロル』の見どころ
クリスマスは他人を愛し、許しあう季節という伝統的な欧米の習慣(?)がテーマ。
日本人だしクリスチャンでもないしと思われるかもしれませんが、一年に一度、自分の周りの人たちに目を向ける機会とするのも良いのではないでしょうか。
普通に泣きましたよ……
自分が自分が、とガチガチに利己主義のカタマリとなっているスクルージは特別な存在ではない気がします。
人生においての幸せとは、また他者との関わり方を見つめ直すきっかけになる一冊です。
スクルージの甥フレッドの、決して折れない心が好きですw
また、ディケンズの時代で一般的だったクリスマスの街や人の様子、そしてめちゃくちゃ美味しそうなお食事関係も興味深いです。
ヴィクトリア朝英国の空気感を、あなたも楽しんでみませんか?
イギリスの文豪。主な著書に『オリバーツイスト』『大いなる遺産』他
初出 | 1843(江戸時代/天保14)年 |
ページ数 | 131頁(kindle) |
賢者のおくりもの
『賢者のおくりもの』のあらすじ
仲の良い、しかし貧しい夫婦の話。
妻デラと夫ジムは、互いが一番喜ぶだろうクリスマスプレゼントを準備するのですが……
新約聖書に載っている、東方の博士たちの贈り物をベースにしたお話です。
『賢者のおくりもの』の見どころ
この作品も有名な物語です。
本当に大切なものは何か、最も良い/賢いプレゼントとは何かを考えさせられます。
アメリカの文豪。短編が得意。
代表作に『最後の一葉』『1ドルの価値』『警官と讃美歌』など
初出 | 1905(明治38)年 |
ジャンル | 絵本(短編) |
対象 | 9歳以上 |
たいせつなきみ
『たいせつなきみ』のあらすじ
木でできた小人たちのお話です。
小人たちは毎日、『お星さまシール』と『だめじるしシール』が入った箱を持って暮らしています。
すごい!素敵!と思った相手には『お星さまシール』を貼り、なんだこいつと思った相手には『だめじるしシール』を張り付ける小人たち。
当然『お星さまシール』が多いほど素晴らしい、『だめじるしシール』が多いほどダメダメという価値観です。
どこかの世間と同じですね。
何をやってもうまくいかない少年パンチネロは、いつも『だめじるしシール』ばかり貼り付けられていました。
ある日、『お星さまシール』も『だめじるしシール』も全く貼られていない少女ルシアと出会い……
『たいせつなきみ』の見どころ
他者の目を気にして生きていくとはどういうことか、を客観的に見ることができます。
本当に自由な生き方ってなんだろう、自分軸ってなんだろうと問いかけてくる作品です。
アメリカの作家/牧師。
代表作に『たいせつなきみシリーズ』『いつも ぎゅっと そばに』など。
初出 | 1997年 |
ジャンル | 絵本 |
ページ数 | 32頁(紙の書籍) |
新約聖書
クリスマス関係の本は聖書に基づくものが多いので、新訳聖書も読んでみてはいかがでしょうか。
クリスマス=イエス・キリストの生誕付近が載っているのは新約聖書の『マタイの福音書』『ルカの福音書』です。
『マタイの福音書』では東方の博士たち、『ルカの福音書』ではマリアとヨセフを中心にした記述があります。
また欧米の小説は”聖書を知っている前提”で書かれているものも多いので、知識として読んでおくと理解が深まるメリットも。
ポアロのクリスマス
『ポアロのクリスマス』のあらすじ
クリスマスの3日前から物語は始まります。
ゴーストン館の主であるシメオン・リーは気難しい性格の富豪。
シメオンは普段疎遠にしていた家族や関係者まで集めて、遺言を書き換えると宣言します。
ゴーストン館に集った人々はそれぞれの事情があり、シメオンの遺産は大きな意味を持っていました。
クリスマス・イブに事件は起こり……
『ポアロのクリスマス』の見どころ
この作品だけ他の本たちと毛色が違うとお思いのあなた、正解です(笑
クリスマスが近くなるとこの作品を読みたくなるんですよね……ちょっとだいぶ血まみれ事件ですけども……
実は『ポアロのクリスマス』は、最初にご紹介した『クリスマス・キャロル』を下敷きにしているという説があるのです。
強欲で自分勝手なお金持ちお爺さんであるシメオン・リーがエベネーザ・スクルージ。
3人の訪問者=3人の幽霊など、『クリスマス・キャロル』を思わせる仕掛けがたくさん。
また『ポアロのクリスマス』はクリスティーの長編で唯一の密室殺人事件であり、犯人が意外過ぎる人物なのがポイントです。つまり読者を惑わせるミスリードが本当に巧み。
また、登場人物たちの性格が実に深い部分まで描写されているところも見どころの一つです。
イギリスの推理小説家。ミステリーの女王と呼ばれている。
多くの名探偵を生み出しており『ポアロ』『ミス・マープル』『トミーとタペンス』などのシリーズがある。
初出 | 1938(昭和13)年 |
ジャンル | 推理小説 |
ページ数 | 473頁(kindle) |