夏目漱石著『門』をご紹介します。
著作権が切れているので、kindleで無料で読めますよ(^^)
ほしにゃーイチオシ!!癒されます!!
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『門』の基本情報
・1910年朝日新聞に連載したものが、1911年春陽堂より刊行/322ページ(媒体によって変動します)
・夏目漱石の前期三部作の3作目。『三四郎』→『それから』→『門』
・『門』を執筆中に胃潰瘍で入院し、療養先で大吐血する(いわゆる「修善寺の大患」)。
執筆中に死を意識したことが『門』の作風や、その後の死生観に影響しているそうです。
『門』の概要
前期三部作の最後の作品
『三四郎』、『それから』に続く前期三部作最後の作品が『門』になります。
この3つの作品はそれぞれ独立した物語でありながら、内容的に繋がっているので順番に読んでいくことをおすすめします。
勿論、どれか1冊だけを読んでも問題ありません!
『門』のあらすじ
東京で役所に勤める野中宗助(のなかそうすけ)は、妻である御米(およね)と崖下の小さな家でつつましく暮らしています。
夫婦仲良く過ごしていた宗助の元に、ある事情から小六(ころく)という年の離れた弟が同居することとなって穏やかな生活は変わっていくことになり……
伊藤博文公暗殺事件
『門』の作中に、伊藤博文(いとうひろぶみ)公の暗殺事件が描かれています。
伊藤博文は1841年生まれ、4度内閣総理大臣を務めた人物。
伊藤博文は、江戸時代に英国に留学した『長州ファイブ(長州五傑)』の一人です。
1909年10月、伊藤博文はロシアとの話し合いのために訪れていたハルビン(哈爾濱/中国の地名)駅で、大韓帝国の安重根によって暗殺されます(複数犯という説も有る)。
ということは、『門』は1909年に起きた物語であることがわかります。
ほしにゃー’s レビュー
ほっこりする夫婦の物語
『門』はほしにゃーイチオシの作品です。
若さ溢れる『三四郎』、ドキドキの『それから』を読んでの『門』。
特に劇的な出来事は起きず、宗助夫婦の穏やかな日常を淡々と、繊細に描いた『門』の目玉はなんといっても宗助・御米の美しい夫婦愛です。
とある事件のために学業を途中で辞めてしまった宗助ですが、地頭は良い(京都大学中退)。
妻の御米も受け答えにウィットがあって、なにより二人とも相手のことを優しく思いあっているのが読んでいて癒されます。
どうでもいいんですが『御米』って最初『おこめ』って読んじゃうんですよね……読み進めると『およね』で定着するんですけどw
『三四郎』『それから』は高等教育を受けた(受けている)エリートの話ですが、『門』は私たち一般市民の感覚に近い主人公です。
リストラにおびえてみたり、日曜の夕方に「明日から仕事行きたくねえな」とたそがれてみたり、金持ちの知人の買い物っぷりがちょっと羨ましかったり。
修善寺の大患を経なければどういう作風になっていたのかは神のみぞ知るですが、物語の中盤~終わり方もほしにゃー的には大変満足というか、大好きです。
宗助と御米夫婦のほっこりラブストーリー、あなたも読んでみませんか?