堀辰雄といえば『風立ちぬ』が有名ですが、今回ご紹介する『燃ゆる頬』もおすすめです!
『風立ちぬ』の記事もありますので、併せてどうぞ。
堀辰雄著『燃ゆる頬』は著作権が切れているので、kindleで無料で読むことができます。
紙媒体で手元に置きたい派のあなたはこちら↓をどうぞ。
『燃ゆる頬』の基本情報
・1932年(昭和7年)刊行の『文藝春秋』に掲載された短編小説/16ページ(媒体によって変動します)
・少年から青年へと成長する過程の性の目覚めをテーマとした作品
・作者である堀辰雄は室生犀星、芥川龍之介やスタンダール(フランスの作家)などの影響を受けており、当時主流だった私小説とは一線を画すフィクションとしてのロマン小説の確立を目指した。
堀辰雄についてのもう少し詳しい情報は『風立ちぬ』のページに記載しています。
『燃ゆる頬』の概要
『燃ゆる頬』のあらすじ
『燃ゆる頬』の主人公は、高校に入学したばかりの「私」(男性)です。
「私」は寄宿舎に入り高校生活を送りますが、
私は彼等の中で一番小さかった。私は彼等から仲間はずれにされないように、苦しげに煙草をふかし、まだ髭の生えていない頬にこわごわ剃刀をあてたりした。
堀辰雄著『燃ゆる頬』より
とあるように、体格的にまだ少年ぽさが抜け切れていないようで、男性ばかりの中で苦労している様子がうかがえます。
ある日「私」は花壇でミツバチの受粉をみかけます。
ミツバチと花の関係性から性を意識し、嫌悪した「私」は花をむしり取りぐちゃぐちゃにしてしまいます。
しかしその直後、今度は「私」自身が性的なアプローチを受けてしまうのでした。
『燃ゆる頬』というタイトル
そう云いながら、彼は私の枕許の蝋燭を消すために、彼の顔を私の顔に近づけてきた。私は、その長い睫毛のかげが蝋燭の光りでちらちらしている彼の頬を、じっと見あげていた。私の火のようにほてった頬には、それが神々しいくらい冷たそうに感ぜられた。
堀辰雄著『燃ゆる頬』より
なんと言いますか……エロい(あっ)。
直接的な描写はありませんが、遠回しで抑えた表現が却って耽美主義的な感じを醸し出しますね。
燃えるように火照った頬=恋情により昂ぶった状態ということですよね。
台詞の言葉選びがスゴイ
『燃ゆる頬』は地の文も妖しくかつ瑞々しいので素晴らしいのですが、台詞の言葉選びのセンスが圧巻です。
いくつかありますが、特に有名な台詞を挙げておきますね。
「ちょっといじらせない?」
堀辰雄著『燃ゆる頬』より
※いじらせてもらうのは、今あなたが考えた体の部分とは違うパーツです(笑)
ほしにゃー’s レビュー
思春期特有の心の揺れを緻密に、美しく描いた『燃ゆる頬』。
一流の作家によるBL/ブロマンス小説ではありますが、本質的には性の目覚めの途中での機会的同性愛の物語です。
機会的同性愛とは、本来は異性愛者である人が異性のいない状況に置かれることで、異性の代わりとして同性を好きになることを指します。
また精神的に未熟であるゆえの、他人の気持ちを思いやれない残酷さも際立っています。
ページ数は少ないですが行間が濃い!
読み手の想像(妄想?)力が試される作品です。この機会にあなたも『燃ゆる頬』を読んでみませんか?