ネクロポリス/恩田陸

ネクロポリス

こんにちは、ほしにゃーです。
今回はお盆付近にピッタリの本をご紹介します!

ほしにゃー

上下巻併せて1000ページ近い長編ですが、読みやすいですよ!

目次

『ネクロポリス』の基本情報

基本情報

・2001年初出。2005年朝日出版社より刊行/上下巻で940ページ(媒体によって変動します)
・作者の恩田陸(おんだりく)は1964年生まれ、宮城県仙台出身。早稲田大学教育学部卒。
・デビュー作は『六番目の小夜子』、代表作は『夜のピクニック』『ユージニア』『蜂蜜と遠雷』など

『ネクロポリス』の概要

『ネクロポリス』のあらすじ

現実とは少し違う歴史を歩んできた世界、という設定です。
英国と日本の文化が交じり合ったファーイースト・ヴィクトリア・アイランズ(通称V.ファー)の北西部にある聖地『アナザー・ヒル』を、主人公ジュン(ジュンイチロウ・イトウ)が訪れるところから物語は始まります。

ほしにゃー

ヒガンと呼ばれる風習があるのです。ヒガン=彼岸、つまりお盆ですよね。

実在することは知られていても、実際の情報があまり入ってこないアナザー・ヒルやヒガンの風習に興味津々なジュン。
一風変わった旅行を楽しむつもりが、アナザー・ヒルで起きた事件がきっかけで思わぬ方向に事態は進んでいくのでした。

ネクロポリスとは?

ピラミッドは有名なネクロポリスですね

ネクロポリス(necropolis)とは広大な規模の墓地、埋葬場所、または昔は人が住んでいたのに、何らかの理由で人がいなくなった町などのことです。
語源であるギリシャ語は直訳すると「死者の都」。

お盆について

ご存知の方が殆どだとは思いますが、お盆について。
現在では多くの地方で8月15日付近に行われる風習(月遅れ盆)ですが、太陽暦が採用されるまでは7月15日がお盆でした(現在も7月に行う地域があります)。

ほしにゃー

東京も7月ですよね

月遅れ盆だと8月1日に「地獄の釜の蓋が開く」と言われていて、8月に入った時点~15、16日までがお盆の時期ということになります。
地方ごとに特色がありますが、先祖(死者)の霊がこの時期だけ家に帰ってくるのを迎え、また送り出す行事だという部分は同じです。

盆踊りは、地獄から帰ってきた死者たちが一時苦しみを逃れて喜んでいる様子を表していると言われます。
ちなみに1872年(明治5年)まで、旧暦の7月14~16日は法定の休日でした。

切り裂きジャックについて

『ネクロポリス』の中では「血塗れジャック(ジャッキー)」となっていますが、明らかに「切り裂きジャック」がベースなので取り上げておきますね。

切り裂きジャックは1888年イギリスのロンドンで起きた連続殺人事件の犯人の呼称です。
娼婦ばかりを狙った犯行で、喉、腹を切り裂く手口。

切り裂きジャック(Jack the Ripper)の一連の事件は「ホワイトチャペル殺人事件」と名付けられ、5件のみが現在認定されています。
犯人は捕まっておらず、その残忍な犯行とメディア(新聞)の虚構入り混じったセンセーショナルな記事もあいまって社会に大きな影響を与えました。

ほしにゃー’s レビュー

ほしにゃー’sレビュー

よくこんな設定思いついたな!
というのが最初の感想でした。

『史実とは少し違った世界』という設定はよくありますが、日本が一時とはいえ英国の植民地になった設定が面白い。
英国風日本or日本風英国感を出すために登場人物の表記がカタカナ、ミカドとクィーンを同時に崇める風土。

ほしにゃー

世界観に慣れるのにちょっと時間がかかりますが……

死にまつわる風習なのに、ヒガン(お盆)をエンタメとして捉えているところにハッとします。
確かに日本のお盆も、そういう部分が無きにしも非ず。

縁日や盆踊り、まさにエンタメじゃないですか……!!
メキシコの「死者の日」もお盆によく似ていますが、あちらもエンタメ性が高いですよね。

また日本だけでなく、ケルトの風習なんかも出てきて異世界感バッチリです。
ファンタジーでありミステリーでもあるストーリーは勿論のこと、日本と西洋が融合した世界が面白くて、家に居ながら旅行した気分になれます。

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