学校の授業とは違う観点、経済を軸にして振り返る世界の歴史です。
テストなど関係なしに学ぶ歴史って面白いですよねー
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『お金の流れでわかる世界の歴史』の基本情報
著者 | 大村大次郎(おおむらおおじろう) |
初出 | 2015年 |
ジャンル | 世界史・経済 |
ページ数 | 216頁(kindle) |
- 1960年生まれ、元国税調査官
- 国税局退職後、税金や法律関連の書籍を多数執筆している
- フジテレビのドラマ『マルサ!!東京国税局査察部』の監修を務めた
『お金の流れでわかる世界の歴史』のまとめ
『お金の流れでわかる世界の歴史』の概要
著者は、序においてこう言い切っています。
本当に歴史を動かしているのは、政治や戦争ではない。お金、経済なのである。
大村大次郎著『お金の流れでわかる世界の歴史』より
さすが元国税調査官!
もちろん政治や戦争は歴史が動くのに大きな要素ですが、確かにお金、経済は切っても切り離せないものです。
経済視点で見ていくのは次の国や時代です。
〇古代エジプト
〇古代ローマ
〇ユダヤと中国
〇モンゴルとイスラム
〇大航海時代のスペインとポルトガル
〇エリザベス女王時代のイギリス
〇ナポレオン時代のフランス
〇大英帝国が発展した時代
〇ロスチャイルド家について
〇明治時代の日本
〇第一次世界大戦
〇第二次世界大戦
〇ソビエト社会主義共和国連邦の始まりと崩壊
〇リーマンショック
貨幣経済の黎明期から現代に至るまで、となると長くて読みにくそうと思われるかもしれませんが、難しい言葉もなくテンポよく進んでいくので比較的スイスイと読めてしまいます。
『お金の流れでわかる世界の歴史』の面白さ
一例として挙げると、ナポレオンがどうして革命の寵児となったのかという具体的な例があります。
何故ナポレオンの軍隊は強かったのかにも経済的理由があったなどという視点は、授業では習わなかったですよね……
孫子の兵法にも「戦争をする前は十分な備えをせよ」とありますが、戦うためには人や食料、武器その他が要ります。
備えの全てには何かとお金がかかりますし、お金がなくなれば維持できません。
結局ナポレオンは1812年のロシア侵攻を機に勢いをなくしていきますが、その背景にも経済が絡んできます。
全ての原因が経済であるというのは極論ですが、歴史をさまざまな角度から眺めるのは有意義ですし面白くもあります。
国が興り、最初は混乱していたものが安定して栄える……ほしにゃーは中国の史劇が好きなのですが、国が亡びる要因として国内の政治の腐敗は大きいと常々考えます。
一方『お金の流れでわかる世界の歴史』では税金の徴収の仕方、法整備が大変重要であると説きます。
国内の情勢が穏やかになってくると、権力者は自分の既得権益を守りたい→富をいかに集めるかという点に終始するようになります(政治の腐敗)。
すると国民から税金を集める方法・法そのものが緩んだり歪められたりして不平等が横行し、国が立ち行かなくなるのがお決まりのパターン。
日本、大丈夫かなあ……
著者、大村大次郎は「今はフランス革命前夜に似ている」と警鐘を鳴らしていますが、あながち笑い話では済まないのかもしれません。
個人的には何故ユダヤ民族がお金持ちなのか、とか有名なロスチャイルド家の成り立ちなどのくだりが目新しく興味深かったです。