琅邪榜は(ろうやぼう)は2015年に、中国の国劇盛典(アメリカにおいて優れたドラマなどに与えられるエミー賞のようなもの)で10冠を獲得し「神劇」(神ドラマの意)と言われた歴史ドラマです。
インターネット放送当時、再生数60億回という驚異の人気を誇った 琅邪榜 をご紹介します。
2021年10月現在、アマプラなどで視聴できます。
DVDも出ています。
『 琅邪榜』の基本情報
・2015年 国劇盛典で、最優秀男優賞など10冠獲得/全54話。
・監督の孔笙(コン・シェン)は琅邪榜 弐~風雲来る長林軍~も監督している。
・原作は海宴(ハイ・イェン)/原作はBLだが、原作者の海宴が脚本も担当してドラマはBL色のない作品となっている。
・南北時代をモデルにした架空の中国史劇。
『 琅邪榜 』の概要
諸葛孔明を超える策士:梅長蘇(ばいちょうそ)が主人公
”諸葛孔明を超える”だなんて言われると真偽を確かめたくなる三国志ファンの方々、こんにちは私もそうでした。
『琅邪榜』 の梅長蘇は軍師というよりも、主に権謀術数に長けた参謀としての才能を発揮します。
梁という架空の国においての、後継者争いが物語の軸になっています。
梁の皇帝は現在最年長の蕭景宣(しょうけいせん)を皇太子に定めていますが、第5皇子の誉王/蕭景桓(しょうけいかん)も皇帝の覚えめでたく皇帝の座を狙っています。
景宣か景桓いずれかが有力であると誰しも思っている状況で、梅長蘇は第7皇子靖王を至高の座へと導いていくのです。
と、大筋としては皇太子・誉王・靖王の権力闘争なのですが、実はもう一つ大きな事件が裏にあり物語に重厚さを増しています。
剣客が多くちょこちょこ戦闘シーンがあり、軍同士がぶつかりあう場面は後半部分にあります。
魅力的な敵役たち
54話という長丁場になると中だるみがあるのでは?と危ぶまれるかもしれませんが、『琅邪榜』は中だるみがありません。
54話は大きく3つ(4つかも)のパートに分けることができ、 分ける基準は当面の敵役(かたきやく)。
この敵役がとても魅力的なのです。
主人公たちにとっての敵なので当然悪役、大変ワルいことをしているキャラクターたちですが、それぞれの性格・背景・欲望がはっきりしていて最終的には同情できる……かまでは見る人次第ですが。
悪には悪なりの理があります。
脚本が優れていることは当然として俳優陣の演技も素晴らしい。
一度目は何とか倒さなきゃ!と主人公たち視点で見てしまいがちですが、2巡目以降は悪役たちにも注目してみると楽しいです。
権力の持つ恐ろしさ
史劇を観るとだいたいついて回るのが「権力の持つ恐ろしさ」ではないでしょうか。
最初は高い志を持って始めたのに、いざ高い位を得てしまうと既得権益を守ろうとして思想が腐敗してしまう。
一つの国を守り繁栄させていくため、国体を維持していくために必要な部分もあるのでしょう。
しかし一人の人間が神のごとく崇められ、強大な権力を持ち続けることの危うさを覚えます。
『琅邪榜』 にはたくさんの見どころがありますが、権力というものについても考える機会でもあります。
ほしにゃー’s レビュー
優れたドラマや映画は、脚本・構成・カメラワーク・美術・演技・音楽等々の要素が高いレベルでぴったり一致しているなと思います。
『琅邪榜』 は練りに練られた脚本を基に、最初から視聴者をグイグイ引き込む力があるドラマです。
恋愛要素は少なめですが、笑いあり涙あり・血沸き肉躍る戦闘シーンあり・知略を尽くした宮廷内での策謀ありのハイクオリティ史劇を観てみませんか?
BL的に観るという手もありますね……