今回は金城武(かねしろたけし)主演で映画化もされた、伊坂幸太郎著『死神の精度』をご紹介します。
金城武良いよね……(ファン)
『死神の精度』の基本情報
2005年文藝春秋より発行(文庫本は2008年)/345ページ(媒体によって変動します)
2005年発行『魔王』にも『死神の精度』の主人公千葉が登場している。
2008年、『死神の精度』を映画化した『Sweet Rain 死神の精度』が公開。
2013年に『死神の浮力』という続きの作品が出版されている。
当初、伊坂幸太郎は『死神の精度』を映画化するのを渋っていたそうですが、主人公が金城武と聞いてGOサインを出したそうです。
『死神の精度』の概要
6つの短編からなる短編集だけど……
『死神の精度』は6つの短編で構成されています。
主人公は同じで、それぞれで完結するのでどこから読んでもいいのですが、そこは伏線と伏線回収が得意な伊坂幸太郎作品。
順番に、通しで読むのがおすすめです。
主人公は一風変わった死神
『死神の精度』というタイトルでおわかりでしょうが、主人公は死神です。
前回ご紹介した「殺し屋シリーズ」といい、伊坂作品は死にまつわる物語が多いですよね。
『死神の精度』の主人公は、千葉(千葉)という名前の死神。
しかしこの千葉という名前も本名ではなく、死神の仕事をする上で便宜上つけられたものです。
死神の仕事について
・外見は、その時々の仕事がやりやすいものを与えられる
・名前は県や市の名前が多い
・人に素手で触るのは厳禁
・人が死ぬ予定の一週間前に接触し、予定通り死ぬのが妥当と思われれば『可』、そうでなければ『見送り』と報告する
千葉も他の死神と同じく、死ぬ予定1週間前のターゲットと出会い『仕事』をこなしていきます。
ただ死神といってもいろいろな人種(?)がいるようで、千葉は自分なりの趣向を楽しむマイルールのクセが強め。
死に対しての考え方や感じ方が人間とは異なっていて、突き放したものの見方かと思えば人情味のあるおかしみもあり、金城武にピッタリだなと個人的に納得の配役です。
ほしにゃー’s レビュー
この『死神の精度』は、うっかり映画を先に見てしまいました。
原作が先か、映画が先かという論争には終わりがないですが、個人的には『原作→映画派』なので忸怩(じくじ)たる思いも抱きつつ。
原作を読み進めると、伊坂先生が金城武を念頭に当て書したのかと錯覚するほどのはまり具合でした。
(当て書……映画や舞台作品などで、最初から『この俳優に演じさせよう』と決めて脚本を書くこと)
金城武が主演ならOK!ということは、その可能性もあるよね。
何か超越した存在が人間の生死を管理しているという設定自体は古今東西あるので、珍しくもない世界観ですよね。
昔アーシアンという漫画もありました(遠い目)完結しないのかと思ってたら完結しててびっくりですよ……
それはさておき『人間を管理する側の生き物』と人間との交流話は、管理する側がどういう価値観を持っているのかによって関係性が変わってきます。
『死神の精度』の千葉が持つ人間との距離感、ここが作品のキモだと思うのですがまさに絶妙の匙加減です。
人生の儚さや人と人との巡りあわせの奇妙さを楽しめると同時に、推理小説的な部分もあり。
ユーモラスでちょっと切ない『死神の精度』の世界に行ってみませんか?