以前ご紹介した『仕事は楽しいかね?』の続編になります。
『仕事は楽しいかね?』は、仕事にも人生にも不安と不満を感じている男性「私」がマックスという老人から仕事というものの捉え方・考え方を学ぶというストーリーでした。
2はその後の「私」が登場します。
マックスから教えられた仕事の仕方で出世した「私」ですが、今度は中間管理職としての悩みを抱えています。
『仕事は楽しいかね?』と共通するのはあれ?このままで俺いいのかな?もっといい仕事、幸せな生き方があるんじゃないかな?
という迷い。
今でもじゅうぶん仕事は楽しいよ!という方も、そうでない方も、しばしおつきあいいただけると幸いです。
『仕事は楽しいかね?2』の基本情報
『仕事は楽しいかね?2』は2002年きこ書房より出版/212ページ(媒体によって変動します)
原題は”THE GIFTED BOSS”。
作者デイル・ドーテンはアメリカの著名な実業家・コラムニスト。
『仕事は楽しいかね?2』の概要
「私」は部下たちを管理する毎日に疲れ切っています。
こんな仕事をしたかったわけじゃない、いっそのこと会社を辞めて起業すれば、家族との時間も増えて幸せになれるのでは?
なんて考えていたのですが、相談したマックスにピシャリと否定されてしまいます。
きみの求める答えは”仕事をしない”ということではないと思う。
『仕事は楽しいかね?2』より
必要なのは、人と人との”結びつき”を仕事に取り入れることなんだ。
「逃げ」の態勢に入っていた「私」に再びマックスの鋭いメスが入り、上司と部下のあるべき姿を教授し始めます。
- ほんものの上司とは・管理職の正しいありかた
- 仕事選びの基準は「幸せ」であり職場は楽しくなくては間違っている
- どういう部下を選ぶ・採用すべきか
会社内の上下関係ということだけではなく、フリーランスであればどういうクライアントを選ぶべきか・継続するコツも学べます。
ほしにゃー’s レビュー
ハーバード大学で、700人の成人男性を75年間(!)追跡調査した研究があります。
研究の目的は「人の幸福と健康は何の要因に強く結びついているのか」を知ること。
多くの資産?高い地位?世界的な名声?
その答えは「良い人間関係」でした。
良い人間関係の中で人生を送ると、幸福感が高い。ストレスも少なく、脳も心身も健康であって長寿の傾向が強いそうです。
「睡眠時間は人生の3分の1」と言いますが、人生において、仕事をしている時間もとても長いですよね。
今回ご紹介した『仕事は楽しいかね?2』では、自分が上司と部下どちらの立場であっても「自分の上司(部下)と一緒にいて楽しいか?相手のようになりたいと思えるか?そう思える人を上司(部下)にしなさい」と教えています。
仕事上の能力を見極め信頼関係を築くこと、それも家族のような絆を続けていくこと。それが結局はお互いを助け、高めていく。
ハーバード大学の研究に信を置くならば、理想とするべき上司と部下の関係性は「人生の幸福と健康」にもとても良い効き目がありそうですよね。
日本はアメリカとは違うから……と言わず。
アメリカほどではありませんが、終身雇用制が崩れてきた日本でも転職もしくは早期退職は身近なものになってきました。
また不安定な時代ですので、副業や起業すべきという機運も高まっています。(余談ですが、夏目漱石の小説にも「今は社会が不安定だから副業すべき」なんていうくだりがあって歴史は繰り返すだなと)
与えられた場所で最善を尽くすのと同時に、自由に動いていく選択肢も念頭に置くべきなのでしょう。
仕事をうまくこなしていく、創造していくにはいろいろなメソッドがありますけれども、最終的には人と人との結びつきが大事というシンプルかつ一番難しい部分なのは不思議な気もするし、当然の帰結という気もします。