ゴールデンスランバー/伊坂幸太郎

ゴールデンスランバー

今回は伊坂幸太郎著『ゴールデンスランバー』をご紹介します。

ほしにゃー

『ゴールデンスランバー』は、日本と韓国で映画化されています。

電子書籍派のあなたは、こちらをどうぞ。

目次

『ゴールデンスランバー』の基本情報

基本情報

・2007年新潮社より発行/690ページ(文庫版)媒体によってページ数の変動があります。
・著者の伊坂幸太郎は千葉県出身・仙台在住であり、『ゴールデンスランバー』を始め仙台を舞台とした作品が多い。
・2010年、主人公を堺雅人・ヒロイン竹内結子で映画化されている。
・2018年、韓国においてカン・ドンウォン主演で映画化。

『ゴールデンスランバー』日本版は原作重視ですが、韓国版は韓国風にアレンジしてあり、多くのオリジナルキャラクターが登場するなどの違いがあります。
両方見て、違いを探すのも面白いかも知れませんね。

『ゴールデンスランバー』の概要

『ゴールデンスランバー』のあらすじ

宅配便の配達員をしていた青柳雅春(あおやぎまさはる)が主人公です。
青柳雅春はとある事件で世間の注目を浴び、そのことが原因で配達員を辞めています。

ほしにゃー

青柳雅春は30代半ば、独身でなかなかのイケメンという設定です。

ある日、新しく日本の総理大臣となった金田首相が仙台で凱旋パレードをします。
何の接点もなかったはずの凱旋パレードが、青柳雅春のその後の人生を大きく変えることに……

ほしにゃー

同著者の『魔王』がほぼ同じ時期に書かれていて、『ゴールデンスランバー』と双子のような作品になっています。

ゴールデンスランバーとは

ゴールデン・スランバー(Golden Slumbers)は、伝説的なイギリスのバンドであるビートルズの楽曲名です。
ゴールデン・スランバーはビートルズのアルバム『アビィ・ロード(Abbey Road)』の中に収録されていて、実質的にビートルズ解散前最後に録ったアルバム(発売はアルバム『レット・イット・ビー(Let It Be)』の方が後)となります。

ほしにゃー

アビィ・ロードのジャケ写は有名ですよね!

slumberには居眠り、まどろみ、浅い眠り、活動休止などの意味があります。
直訳するとGolden Slumbersは『黄金のまどろみ』になりますが、アビィ・ロードがビートルズ最後のアルバムであることを考えると活動休止の意味も含まれているのでしょうか。

ほしにゃー

元々はトーマス・デッカー作『揺りかごの歌』から構想を得た曲です。

ゴールデン・スランバー以外に、ビートルズの『ヘルプ!』『カム・トゥゲザー』なども作中に出てきますので、この機会にビートルズの世界に浸ってみるのも楽しいですよね。

ケネディ大統領暗殺事件とは

『ゴールデンスランバー』では、ケネディ大統領暗殺事件がとても大きな意味を持っています。
ケネディ大統領(ジョン・F・ケネディ)とはアメリカ合衆国の第35代大統領(1961-1963)で、1963年パレード中に狙撃され暗殺された人物です。

ほしにゃー

アメリカ史上最年少の43歳という若さで大統領となったジョン・F・ケネディは、現在でも大変人気がある方です。

リー・ハーヴェイ・オズワルドという男が暗殺犯とされ、暗殺後一時間で捕らえられますが、オズワルドは無実を訴えます。
しかしそのオズワルドも大統領暗殺2日後、ジャック・ルビーというならず者に射殺されてしまうのです。

政府の公式見解である『ウォーレン報告』では、ケネディ大統領暗殺に関わったのはオズワルドだけであり、オズワルドを射殺したジャック・ルビーも単独犯だと断定されています。
しかし暗殺当日、小さな違和感とでもいうべき不思議な偶然が重なっていること、また暗殺事件の目撃者が多数不審死を遂げているのではないかという主張もあり、陰謀論が多く存在しています。

ほしにゃー

JFK大統領の暗殺は11月22日ですが、『ゴールデンスランバー』も同じ11月末頃という設定になっています。

謎に包まれたケネディ大統領暗殺事件の真相を追うジム・キャリソン地方検事役ケビン・コスナーが演じた映画『JFK』もおすすめです。

映画『アンタッチャブル』もそうですが、正義を追求するタフな男が似合いますよね、ケビン・コスナーって。
『アンタッチャブル』といえば、ほしにゃーの大好きな1930年代アメリカの男性ファッションを楽しめる名作です(そこか)。

スリーピースのスーツ、ダブルカフス、センタークリースの帽子……スーツフェチの同志諸氏に強く推せる作品です(内容も面白いです、勿論)。
スーツに帽子っていうファッションが復活してほしいなあ(^^)

ほしにゃー’s レビュー

ほしにゃー’sレビュー

まるで映画を見終わったような読後感でした。
タイムラインが前後する構成によって断片的に与えられる情報、さりげなく仕掛けられた伏線やギミックが的確なタイミングで回収されていく過程の面白さ、繰り返されるビートルズの『ゴールデン・スランバー』が作品の軸となって読者を導いていく。

『魔王』『モダンタイムス』と同じくマスコミや政治への風刺・警鐘が表のテーマ。
そしてバラバラになってしまいそうなビートルズ解散直前の切なさと同時に、共にある・あった時間への郷愁が裏のテーマでしょうか。

単行本で690ページとやや長い物語ですが、読者を飽きさせず一気に読ませる勢いがあります。
ハラハラドキドキの『ゴールデンスランバー』をあなたも読んでみませんか?

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